○ 乗せてってあげる
ロンドンっ子のスージーは在マレーシア暦約4年。イギリスの企業から派遣され、クアラルンプールでは部門の責任者で、地元の人々を数人部下として抱えている。
彼女が赴任したばかりの頃だった。
終業時間になったが、外はものすごいスコール。電車と徒歩で職場に通う彼女だが、どうせ今出てもびしょ濡れになるだけだわと思って、雨が上がるのを待っていた。
ようやく小降りになり
― さあ、帰ろ ― と思ったその時、部下の女性が言った。
"Can I send you home?"
これを初めて聞いたときのスージーの気持ちを代弁すれば
―!!?? そりゃ、帰るけど……、なんつー言い方でしょ?
私、あなたのボスなんだけど ―
一瞬不機嫌になったスージーだったが、数分後には、部下が言った言葉の真意がわかってゴキゲン♪で帰途についていた。
なぜこんな誤解が起こったのか?
"Can I send you home?"
スージーは初め、これを標準的な意味合いで受け取った。
辞書に載っている標準的な意味では
send <人> (to) 場所 で
「人を、場所に遣る(人に、そこへ行くようにと言う)」
I sent Emily home (by taxi).
エミリーを(タクシーで)家に帰した。
(自分が送り届けた場合は I took Emily home.)
I send you home. 私はあなたを家に帰す。(相手に、帰ってねと言う)
Can I send you home? あなたを家に帰していい? (帰ってくれる?)
ボスに向かって
「帰ってくれる?」とは、まぁ失礼な! と思ったわけ。
マレーシアでは
I send you home. (車で)あなたを家に送る。
Can I send you home? (車で)おうちまで送ってあげましょか?
意味も、言葉を発する人のキモチも
ぜんぜん違います。
スージーの部下は、 "Can I send you home?" のあと、
「私の車を下に回しますので、どこどこで待っててください」
と言って駐車場へと向かったのだった。
よかったね、スージー。いい部下で。
ちなみにスージーなら「乗せてってあげようか?」はこう言うそうだ。
Shall I give you a lift?
(アメリカでは lift のかわりに ride を使う方が一般的だそうです)
2005.02.02
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