○ アウトステイション
ある日、郵便受けに個人タクシーのちらしが入っていた。(現物は英語)
空港お出迎え、観光、小旅行、その他アレンジいたします
OUTSTATION CALLS WELCOMED
(アウトステイションの呼び出し歓迎)
===(中略)===
KL AREAS ONLY (クアラルンプール地域限定)
OUTSTATION って、何なんでしょ?
辞書で outstation を引いてみると
「(辺境の)出張所、支所」とか、「(イギリスが、オーストラリアやアフリカなどに置いた)分遺所、派出所」などとある。もともとが、イギリスの植民政策時代の用語らしい。
このちらしにはしかし、そんな意味は当てはまらない。この単語、マレーシアではどんな風に変化したのだろうか? マレー人のジュナイナーちゃんに聞いてみよう。
「outstation って何?」
「ああ、これ、マレーシアではね、たとえばスランゴール州出身の人が、サバ州で暮らしてるような場合に He is in outstation. っていうんだよ」
「自分の州以外の州ってこと?」
「そうよ。ほかには、州に限らず、どこかに出張に行ってて事務所にいないときなんかにも He is outstaion. って言うよ」
要するに、「自分の本拠地から離れたどこか(で)」 という意味のようだ。植民政策時代のイギリス人が、自国に対して、遠く離れた土地の拠点を指して言った意味合いから派生したものには違いないようだ。
そうすると、あの個人タクシーのちらしの言葉は、多少苦し紛れだがこんなところか。
クアラルンプール地域が本拠地ですが
そこから少し離れた空港(スランゴール州)や港(ヌグリ・スンビラン州)などから
お呼び出しいただいてもいっこうにかまいませんよ(馳せつけまする)
実際、ジュナイナーに問題のちらしを見せたら、マレー人の彼女ですらしばらく考え込んだ末の結論であった。いわく、
「この場合の outstation はスランゴールがヌグリ・スンビランに限られるね。サバ(東マレーシアの州)なんて遠すぎて所詮無理だもんね」
後日、別件で色んな辞書をめくっていたら、こんなのを見つけてちょっとうれしかった。
outstation
副詞 《マレーシア》
(話し手の)町から離れて (研究社 リーダーズ英和辞典 第2版)
形容詞・副詞 《インド》
(出張などで)本来の職場に不在で (研究社 リーダーズ・プラス)
(2003.09.10 記 2004.09.02 改)
用例の追加です。
a local call (市内通話) に対して
an outstation call (市外通話)
「市外通話」の言い方として、英米では「長距離電話」 a long-distance call がよく使われるようです。
このほか、アメリカでは a toll call とも、
イギリスでは a trunk call とも言うようですが、
後者(イギリス)は少し古くて陳腐化しているみたいです。
マレーシアでは
携帯電話の通信会社の新しいサービスについての新聞記事から
(New Straits Times - Business Times 030924)
DiGi's local call charges will be reduced to 40 sen from 60 sen per minute with a new automatic adjusting prepaid plan called "beyond prepaid".
"Beyond prepaid", with a starter pack price of RM 38 each, also offers outstation calls at RM1.20 per minute all day long.
DiGi 社の市内通話料金は、新しい自動調整プリペイドプラン「ビヨンド・プリペイド」で、1分あたり(現行の)60センから40センに値下げ。
「ビヨンド・プリペイド」なら、一個 38リンギのスターターパックで、一日中1分あたり1.20リンギで市外通話も利用できます。
冒頭の個人タクシーのちらしの「outstation calls」も、電話での呼び出しには違いないから、この「市外通話」との関連でとらえればよかったのかも。
(2004.05.15 記)
初版:2003.09.10 最終更新:2004.09.02
Copyright (C) 2003-2008 nansei. All Rights Reserved.