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| 2005.03.18 |
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大きな買い物をした。 |
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「あの〜、先週の日曜日にこれ買ったんですけど……」 カウンターの近くにいた店員1番さんに声をかけた。 「6つのスピーカーのうちですね、ふたつが音が出なくって、あとの4つは……」 黙って全部聞いたあと、彼は 「ちょっと待ってね」というそぶりで、別の店員さんを連れてきた。 ははぁ、もう1回説明しろってか。 「6つのスピーカーのうちですね、ふたつが音が出なくって……」 店員2番さんに最初から同じことを全部説明した。 「ああ、それじゃ……」と、わかったような顔をして、2番さんは店員3番さんを連れてきた。2度あることは3度ある。 「6つのスピーカーのうちですね、ふたつが……」 根気よく、3番さんにも同じ説明を全部した。もうすっかり暗記していた。 ここまでの展開は予測済みだった。 人が入れ替わり立ち替わりして、同じ事を何度も繰り返さなければならないのには、慣れたくないが慣れている。 面倒なことほど気は長く持て。 ほら、やっと事が動き出したぞ。 店員3番さんが、にっこりして言った。 「配線の仕方ですね。今日午後1時に、この店にメーカーの人が 来ますから、配線してもらいましょう♪」 …… そうじゃなくてー。 「あのね、配線は完璧。これは『製造ミス』なの。『欠陥品』なの。メーカーにまるごと返すべきなの」 『欠陥品』と言った途端に、店員1番、2番、3番さんの表情がこわばった。互いに顔を見合わせて、無言のまま、目の端っこでこう言っている。 ― ウソだろ? ― そんなはず、あるわけが…… 店員3番さんが、疑いの表情を隠さないまま、いみじくもこう切り出した。 「そこの展示サンプルコーナーで、配線して見てみましょう」 大いにけっこう。気の済むまでやってちょうだい。 どこからか、胸にバッジをつけた責任者らしき人が加わって、店員3番さんとふたりがかりで、コードをつないだり抜いたり、スピーカーに耳を当てたり、色々と検証を始めた。 待つこと40分。 胸のバッジに「アハマド」なる名前をつけたその人は、振り返ると私に言った。 「どうもすみません」 お! 認めたのね、欠陥品と。よしよし。それで? 「ではこれを『修理』させていただきます」 ― へ? ― 「あの……、『修理』じゃなくて〜、ちゃんとした新しい製品に取り替えてください。私、新品を正価で買ったの。長いこと使ってて壊れたんじゃ〜ないの。(なんでこんな当たり前のことを説明せねばいかんのだ?)」 「は、おっしゃるとおりです。じゃ、在庫がないので、『これ』をお持ち帰りください」 アハマドさんが『これ』と言って指さしたのを目で追うと、それは、1か月以上前からそこにある『展示品』だった。 ― あのなぁ…… ― 「(落ち着け、落ち着け)えーーーーっと。これはみんなが触って指紋いっぱいついてるでしょ。こういうのは『新品』とは言いません。在庫がないのなら、キャンセルして、いったんお金を戻してもらって、ほかのメーカーの……」 ここまで言ったところで、アハマドさんは慌てふためいた様子で 「いえ、たとえどんな事情があろうとも、返金は一切出来ません」 「いや、だからそのお金で他のメーカーの……」 「いえいえ、私たちに出来るのは、同じメーカーの、同じ商品に交換することです。次の入荷が3日後ですからそれまでお待ちいただけたら……」 「(早くそれを言ってよー)了解、了解、無問題。……、あ、その代わり、今度はお店の責任において配達してもらえます?」 「はい、お届けします」 「で、開梱して、配線して、ちゃんと機能するか、私の目の前で確認していただけます?」 「はい、いたします」 よっしゃ〜。 |
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カウンターに行って書類を整えながらアハマドさんが言った。 「新しいものをお届けするまでの間、これ(欠陥品)をお使いになるんでしたら今日お持ち帰りください」 ……いるか。 「いえ、新品配達のお約束の一筆とアハマドさんのサインをいただければそれで結構です」 「かしこまりました」 「で、欠陥品のシリアル番号も書いといてください」 「承知しました」 「今度届けてくださるのは違うシリアル番号のはずですよね?」 「その通りです」 時々とんちんかんなセリフは混じるが、欠陥を認めてからの対応は、これでもまずまずスムーズだったと言えよう。 しかしまだ終わらない。 つづく |
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