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| 2004.12.17 |
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チャイナタウンのセントラルマーケット地階の一角にその店はある。 |
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この店に連れてってくれたのは、本の虫、クラウディア姉さんだった。ドイツ人の両親がアルゼンチンに移民して、そこで生まれて育った彼女は、ゲルマン系の時間に正確な緻密さと、ラテン系のおおらかな陽気さと、いいとこふたつを兼ね備えている。
とにかくすごい勢いで次から次へと読みまくる彼女は、 「読んだ本を手元に置いとくと部屋が狭くなるからイヤ」 というわけで、たちまちこの店の常連になった。 古本の山の中を注意して見れば掘り出し物が見つかるし、新刊もしょっちゅう入荷している。ふつう遅くても2週間で姉さんは返しに来るが(そしてまた次を借りる)、たまに「1か月だけよ」の期限が2か月以上過ぎてしまったとしても、おじさんに、へらへらっと笑って 「ハーイ!」と愛想をふりまけば、記載価格で引き取ってくれるという。ん〜、さすが。 ある日店のおじさんが彼女に言った。 「今日これが入荷したんだけど、どう?」 提示してくれたその本は、まさに姉さんのハートを びびびびびーーーーーん!と撃ち抜いた。タイトルもテーマも、装丁も、裏表紙のコメントも、「おお、欲しいっ!」と思うのに十分であった。即決で買った姉さん、大満足。 調査会社など使わなくても、パソコンなど使わなくても、顧客の傾向をしっかり掴んでニーズを捉えるマーケティングがちゃんと出来ている。 大したおじさんだ。 |
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| チャイナタウンにはカレッジや公立学校もあり、バス停のベンチに座っていると、学生さんたちをよく見かける。 彼らが手に抱えている教科書だが、4〜5冊のうち、少なくとも一冊は「コピー本」であることに気づく。丸ごと一冊を、おもて表紙からウラ表紙までコピーして製本したものだ。 音楽CDやビデオCDなどの海賊版産業が大きな規模で存在するこの国のこと。以前、政府が海賊版CD業者の摘発に躍起になった時期があり、一時的に表面上は静まったかのように見えたが、水面下の深いところでは根絶されてはいない。「著作権」の保護意識も進んではいない。 だからこんな商売も成り立つのだ。 「本一冊、まるごとコピー・製本業」 ごく普通の文具屋さんなどのサービスとして行われている。A4サイズ、200ページ程度の本のコピー・製本でわずか10リンギ(約280円)程度で、半日から1日で仕上がるという。学生さんたち5人ほどのグループの全員が、全く同じコピー本を持っていることもある。 「学生はお金がない」 ↓ 「安く手に入れることは善」 ↓ 「本は買わない、コピーする」 これ、ごくごく普通のことみたい。 ちなみに店に置いてあるコピー機は圧倒的に日本の旧型のお下がりが多く、表示が日本語である。コピー本の多品種少量生産に、貢献(?)している日本製品なのであった。 |
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| インド人のおじさんの店と似た仕組みの本屋さんは、注意して見ると、各地に存在する。大手の本屋さんでぺらぺらっと見てエイヤッと買って、やっぱりつまんなかった(読了出来ず)、となるよりは、試し読みのつもりでこういう店で借りてみるのもいいかもね。 昨日久しぶりにセントラルマーケットに寄ってみた。インド人のおじさんは変わらず店に出ている。 けれどクラウディアはもうここにはいない。姉さん今ごろ、ヨーロッパのどっかの国で、相変わらず本をあさっていることだろう。 |
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