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24 感心、感心

クアラルンプール マレーシア

2003.11.16





 Excuse me, Ma'am ?

 この10月末で勇退したマハティール前首相が、在任中に公衆トイレの美化を呼びかけたのを受けて、州政府などが対策を練っている。

 なぜ掃除をしても公衆トイレがすぐ汚くなるのか?

 新聞報道によると、人々に「流す」習慣が徹底されていないからだそうだ。水洗トイレ、洋式トイレの普及の歴史が浅いためだろうか。

 日本人の友人の話では、あるローカルチャイニーズのお宅にお邪魔した時、その家の家族がトイレに行った後何も音がしないので
「ね、流すの、忘れてない?」と聞いてみたら
「あ゛〜、水がもったいないからウチでは流すのは3回に1回よ」
と、いとも無邪気な答えが返ってきたそうだ。

 ― そういうことなのか……??? ―

 それならば、公衆トイレにはハイテク自動感知センサーで人が立ち去ったら自然に流れる装置をつけようではないかと検討してみたのがジョホール州。しかし、コスト計算しただけで(または、する前に?)あっさりあきらめた。

 ― 高すぎる ―

 そこでジョホール州はこの8月に「公衆トイレ条例 2003」を作った。流し忘れ、水道水の出しっぱなし、設備の損傷、落書きなどには、最高1000リンギ(約3万円)の罰金。(ちなみにこの国の警官の初任給最低額は月690リンギである。)どうやって徹底するかは謎。

 問題は他にもある。洋式便座に靴のまま「上に乗って」使用する習慣のある人々が相当数いるようで、白い便座に靴跡が残っていることも珍しくない。

 ショッピングセンターなどのトイレには
「使ったら流しましょう」
「便座の上に乗らないでください」
などと貼り紙がしてあったりするが、長年の癖はそうやすやすと治るものではない。

 個室に入ったら使う前に
「まず流して」
「ペーパーで便座をきれいにする」必要がある。


 ===(ここからが本題です)===


 ある会館の女子トイレ。

 個室が3つ並んでいて、どれもドアが閉まっていた。しばらく待っていたら、一番右のドアが開いて8歳くらいのチャイニーズの女の子が出てきた。

 私を見上げて

「Excuse me, Ma'am, do you know how to flush the toilet?」
(すみません、どうやって流せばいいんですか?)

びっくりした。この子のことば使いのていねいさ。

 ― Excuse me, Ma'am ? ―

 大人ことばで
「あの、すみませんが」と言っている。こんな小さいうちからなんでこんなのが言えちゃうの???

「Just push the button on the wall.」
(壁のボタンを押せばいいのよ)

 教えてあげたら個室に戻って言われた通りにボタンを押して出てきた。流し方がわからなかったのは、日ごろ家や学校で使っているトイレと形式が違うからなのだろう。

 流す習慣すら徹底されていないといわれる一般の状況を考えるにつけ、使い方のマナーを守ろうとし、知らない人にものを尋ねる言い方もきちんと身についているこの子は、大したものだと思った。


くるりん


 はじめてのおつかい (話、全然変わります)

 都心のショッピングセンターで人と会う約束をした。待ち合わせ場所は、地下一階のケンタッキーフライドチキンの前。店の前のベンチにカーネルサンダースが座っている。そのとなりに腰掛けて待つことにした。

 目の前に花屋さんのスタンドがある。生花のほかに、色とりどりの風船も売っている。

 マレー人のお父さんが、3歳くらいのちいさな女の子を連れて通りかかった。黒い髪がくるん、おっきな目がくりん、長いまつげがくるりん。女の子は風船を見てしきりに
「あれとって」とお父さんにせがんでいる。
「これ?」
「ううん」
「こっち?」
「うん、うん、それ、それ〜!」

 ご指定の風船をお父さんが取って渡すと、くるりん娘はいきなりカーネルサンダースの方に走り寄って来た。となりにいる私を見て鼻をふくらませて満面の笑み。
私「よかったね〜」 (←日本語)

 お父さんの呼ぶ声がした。
「アイシャ(この子の名前なのだろう)、お金払うよ」

 すると何を思ったか、店とは全然別の方向にとっとこ走り始めたアイシャちゃん。 お父さんは財布を出しかけていたが、店の人にひとこと断って、ちいさな娘を追いかけた。5メートル先でつかまえて、10リンギ紙幣を娘の手に握らせている。店の方を親指で指してなにやら言って聞かせていた。

 くるりん娘、すると今度は私めがけて突進してきて
「はい」と10リンギ紙幣を差し出した。

「え!? ……、あっちだよ」(←日本語)と花屋のお姉さんを親指で指してあげる。

 指の示す方向をじーーーっと目で追うくるりん娘。何のことだかわけがわかっていない様子ながらも、とりあえずそっち方面にとことこ行ってみたら、見事、花屋のお姉さんに自分で10リンギを渡すことが出来た。お、それだけじゃないぞ。お姉さんが何かくれようとしている。お釣りだ。すごい、8リンギももらっちゃった。お父さんの待つ方へひょいひょい歩いてお釣りを渡して、おつかい完了。

 カーネルサンダースと私にくるんと振り向いて、ばいばいしながら去っていった。

 女の子が選んだ風船はグレーがかった藤色だった。渋かった。



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最終更新:2003.11.23
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