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14 1センの重み

クアラルンプール マレーシア

2002.04.23





 マレーシアの通貨単位は

 Ringgit (リンギット、実際には最後の「ト」が非常に弱くて「リンギ」に聞こえる)

 1リンギ ≒ 34円 (2002年4月22日現在)

 その下に補助通貨として、1リンギの百分の一の sen (セン) という単位があり、リンギはほとんどが紙幣で、センは全て硬貨。

 50セン硬貨 白銀色
 20セン硬貨 白銀色
 10セン硬貨 白銀色
 5セン硬貨 白銀色
 1セン硬貨 赤銅色

 一番小さい赤銅色の1セン硬貨の価値は、

 1セン ≒ 0.34円

 というより

 3セン ≒ 1円 の方がイメージしやすいだろうか。

 今回はこの1セン硬貨をめぐる、お釣りいろいろ物語。



 とあるコーヒーショップでカプチーノを。お釣りは41センのはずだが、40センしか戻してくれない。

「1セン足りませんよ」(しかめっつら)
「あ〜、今1センが1枚もないんですよ〜♪」(無邪気な笑顔)

だから(足りなくても)許してねってこと?
とても有名なコーヒーショップにして、これだ。



 朝10時50分、チャイナタウンのマクドナルドでおやつ。

 お釣りは54センのはずだが、ここでも1セン硬貨が足りなかったのか、はたまためんどくさかったのか、55セン(50セン硬貨と5セン硬貨)が戻ってきた。

 1センもうけ♪

 その日の午後3時、例のとても有名なコーヒーショップでカプチーノ。お釣りは41センのはずだが、また1セン硬貨がないから40センでかんべんしてねと言われるかもしれない。でも今朝1セン得したから、それでも許してあげる。

 寛大な心になっていたら、どっかの神は私に微笑んだ。

「へ? 4セン多いですよ」(びっくり)
「あなたのものです」(極上の笑顔)

 その後このコーヒーショップで「4セン余分バック」が2回続いて起こったので、すっかり店は汚名返上、名誉挽回。

 晴れて店の名前も書いてあげよう。
 スターバックス。



 とあるフードコートのママック(インドとマレーのミクスチャー)の店で昼ごはんを食べた。

 (注)フードコート
 大食堂みたいにテーブルと椅子がたくさん並べてあるスペースの周りにいくつかの店がそれぞれのコーナーを設けていて、客は好きな店で注文、清算し、お盆の上に料理をもらって、空いているテーブル(どこでもよい)に運んで食べる。大きいフードコートだと、となりに居る人の食べているものが珍しく、どの店のものなのか知りたくなります。


 お釣りは12センのはずだが、おじさん、レシートの上に10センだけのっけてよこすとスタスタ奥に消えた。出てこない。これは確信犯。

 たかが2センぽっちといってすごすごとあきらめたりしませんぞ。両手は料理をのせたプラスチックのお盆でふさがってはいるが、今もらったばかりのレシートと10センをお盆の端で右手にしかとつかんで奥に向かって呼びかける。

「はろ〜、はろ〜〜、はあああああろぉ〜〜〜〜〜!!!」
(注 : マレー語の呼びかけの言葉)

すっとぼけおじさん、いぶり出し成功。

「2セン足りませんよ」(にっこり)

おじさん、無言のままポーカーフェイスで2センをよこした。

 徒労にはならなかったが、なんか疲れるな。



 「レストラン」と名のつくような店では、屋台やフードコートと違って、サービス料が10%、税金が5%乗る。

 ここは、チップの習慣の残る欧米とは違う。基本的にはチップを置く必要はないし、料金にサービス料を乗せている所ではなおさら必要ない。

 ……はずなのだが、外国人、特に西洋人客を当てにしているような店では、客の習慣にそれとなくつけこんじゃっているような場面があったりする。

 ちなみに、レストランでの清算の仕方は、日本のように店の入り口近くのレジで支払うのではなく、食べ終わった後、店員を呼んでテーブルに伝票を持ってきてもらい、お金を渡してお釣りはそのままテーブルで待つ。この待ち時間が実にスリルたっぷり。きっちりと戻してくるかどうか、一種、賭けに似たところがあるんだな。

 というのも、ここに来て間もない頃に苦い経験があるからだ。ある大変有名な高級ホテルのラウンジでお茶をした。テーブルに伝票を持ってきてもらってお金を渡し、45センのお釣りを待ったが、いつまでたっても係のお姉さんは現れず、とうとう踏み倒されてしまった。たかが45セン(15円)のことではあるが、サービス料も税金もきっちり取ってる「大変有名な高級ホテル」がそんなセコイことする根性が気にいらんのだ。

 以来、お釣りには目くじらたててキビシイ私。

 


 とある中華レストラン。

 可愛らしいお姉さんがお釣りをかごに入れて持ってきた。かごの底に硬貨が何枚か、その上に紙幣が何枚か乗っている。こちらがまず紙幣を取って枚数を確認しているすきに彼女、

「ありがとうございました〜♪」(にこ)

硬貨の残るかごをさっさと持って行ってしまった。

「あ、あ、あ……」

してやられた。



 とある地中海風シーフード料理のレストラン。ふたり分、しめて65リンギ88セン。70リンギを紙幣で、あと、88センをきっちり硬貨で渡し、5リンギ紙幣のお釣りを待つ。

 店員がニコニコしながらお釣りを持ってきた。テーブルに置いた後、彼は一歩下がってじっと様子を伺っている。

…………。

そのお釣り、5リンギは、ごたいそうなことに

 紙幣で4リンギ
 20セン硬貨×3枚 = 60セン
 10セン硬貨×4枚 = 40セン

であった。

 店員さんの「ちょっとくらい置いてってくださいよ光線」を、背中にばしばし浴びながらも、じゃらじゃら硬貨を残すことなく持ち帰る我々であった。当然。



 安くてうまいインドレストラン「サフラン」の場合。ここは感動したのでちゃんと実名を出してあげる。

 ふたりでたらふく食べた後、お金を渡して12リンギと3センのお釣りを待った。

 インド人のおじさんがさりげなく持ってきて置いたのは、12リンギと、「10セン」硬貨。

 おお、この心意気がすばらしい。5セン硬貨でなく10セン硬貨ってのがまた心憎い気前のよさ! こういう所には気持ちよく、10セン硬貨を置いていってあげましょう。

 ん? 実はのせられたのか?



 チャイナタウンのバス停。

 バスは乗るときに料金を箱に入れるが、きっちり払うのが常となっている。運転手はお釣りというものを一切持っていない。

 バスを待っていたローカルのお姉さんが私の方に寄ってきた。

彼女「○○まで、いくらですか?」
南西「1リンギ60センです」
彼女「私、10リンギ紙幣しか持ってないんです。両替していただけませんか?」
南西(財布の中を見て)「ごめんなさい、できません」
彼女「じゃ、1リンギ60センをください」
南西「???!!!……出来ませんっ」
彼女「……、……」

 見ず知らずの人に、いきなり「(お金を)ください」と大真面目に言えちゃうこの発想に度肝を抜かれてしまった。彼女は身なりもきちんとしていたし、ことばも丁寧だった。お金に困っている風体の人ではない。なんなのだ、これは?

 いずれにしても、人々にとって、1センの価値が重いんだか軽いんだかよくわからない。

 チャイナタウンには、よく赤銅色の1セン硬貨が落ちている。誰も拾おうとしない。その数十メートル先には、物乞いがいたりする。

 いつか拾われるのかな。



【追記 2008年1月8日】

 2008年4月から、店頭での現金勘定は5セン単位に丸められることになりました。

 例 2リンギ17セン→2リンギ15セン
   2リンギ18セン→2リンギ20セン

オンラインショッピングや、店頭でのカード払いなど、「現金以外の決済」の場合は丸めずにそのままの価格となります。

1セン硬貨の流通は徐々になくなって行くようです。


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最終更新:2008.01.08
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